マルシャルと夫は、幼いときからの友達で、親同士の仲もよく、別荘も近いところにあり、家族同様に過ごしてきたそうだ。

私たちがカトリック教会で結婚式を挙げたとき、彼は夫側の証人として、サインをしてくれた。

私たちの結婚から数年して、マルシャルはフランソワーズという女性と結婚をした。明るくて、愛情深くて、努力家で、素晴らしい女性だなーと感じた。私の長女をよく可愛がってくれ、子供好きであることがうかがえた。

しかしながら。
彼女の両親は彼女が幼いときに離婚していたそうで、実はマルシャルの親がそのことを理由に、彼女との結婚を反対していたと、私は夫の母から聞いた。

でも。
結婚しちまえば、こっちのもんです。ふたりは、それは幸せな、結婚生活を送った。マルシャルの仕事がなかなか軌道に乗らなくても、フランソワーズは文句一つ言わず働きに行き、家計に収入をもたらした。

それからしばらくして。
フランソワーズが妊娠したと言う知らせを受けた。やったね!おめでとう!楽しみだね!
それなのに。
数ヶ月して、夫の母から、「彼女のお腹の子は、無脳症なの。堕ろさなければならないの」
という知らせを受けた。

その後、私が彼女に会ったとき、そのことについては、触れなかった。

そしてまたしばらくして。
私は次女を生んだ。それと同時に、フランソワーズが妊娠したと言う知らせ。今度こそは元気な赤ちゃんが生まれるに違いないと、誰もが思った。主人は、次女のカトリックの代理父を、マルシャルに頼み、彼は快く引き受けてくれた。幸せの予兆を感じているような表情だった。

それなのに。
次女の教会での洗礼の数日前に、フランソワーズのお腹の子供がまた無脳症だということが分かり、彼女は掻爬のために入院した。マルシャルは、「代理父は引き受けるが、洗礼式には出席できない」と言った。彼の弟が式で代役をした。

彼女の苦しみを考えると、健康な我が子を抱いている私は、気が変になりそうだった。

その1年後。
マルシャルとフランソワーズは、新しいアパルトマンを買ったからと、わたし達を招待してくれた。キッチン、リビングダイニング、寝室、そして…子供部屋があった。ベビーベッドに、ベビーファニチャーに、たくさんのぬいぐるみ…生まれてくるはずだった赤ちゃんのために用意したものが、そこには静かに置かれていた。何も知らないウチの子供たちは中に入って遊ぼうとしたが、私はそれを遮った。そこはあまりにも神聖で、汚してはならない場所だと感じたからだ。

しかーし!!!
その2年後、フランソワーズはまた、妊娠した。まわりは、静けさと穏やかさを装いながらも、はらはらドキドキ。
「経過順調!赤ちゃんは正常に育っている!」と言う知らせは、あっというまに広まった。
そして、元気な女の子を産んだ。エマニュエル。彼女の好きな聖人から取ったそうだ。

そして!!!
その2年後、彼女は再び妊娠した。前回ほどではないが、やはり緊張感の漂う数ヶ月。「また女の子よ。順調に育ってる!」と聞き、私は無宗教だが、どこかの神様に、ありがとう!!!と叫びたくなった。可愛い妹は、セシルと名づけられた。

今。
「エマー!セシール!お行儀よくして!」
と、彼女は堂々たる母親っぷりを発揮している。
「あなたの子供たちみたいに、いい子に育って欲しいわ」
と、私に微笑む。
「ウチの子達、べつにそんな、おりこうちゃんじゃないよ…?」
でも、いいんだ。彼女は、“母親同士”の会話を楽しみたいんだ。そのことが、よくわかる。

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