パリでお勧めのお買い物
2008年7月7日 買い物
鳥かご
シテ島の鳥市で、とびきり美しい鳥かごを買う。盛んにさえずる色とりどりの小鳥たちに呼びとめられるが、日本へ持ち帰る手続きの困難さを思うと、そちらの方は諦めざるを得ない。それでも敢えて、とりわけ可憐なのを一羽買い求め、旅の間だけ一緒に暮らし、発つ日の朝に放してやるというのはどうだろうか? いや、飼い鳥が自由に生きてゆけるほど自然は甘くないはず…。自らのエゴイスティックな思いつきをを戒めながら、空の鳥かごを抱えて、セーヌ川を渡る。
蝋燭
教区の人々しか足を踏み入れない、小さくて地味な教会を訪ねる。小銭をそっと献金箱に落とし、蝋燭に火を灯して、祈る。過去と現在と未来の精霊に包まれて。
アンティークの鏡
薄暗い骨董屋の奥でわずかな光を反射させている古い鏡を買う。貴婦人の肖像画を収めたくなるような、デコラティブな額に縁取られた鏡だ。この鏡の前に立つとき、最初はあまりに貧相な自分の風采に愕然とするだろう。けれども、毎日姿を写すうち、鏡にふさわしくなろうという無意識の努力が働き、やがては気品あふれる人間になれるような気がする。
言葉
語学学校の一週間コースに通う。とっつきにくいフランス語と仲良くなれるし、さまざまな母国語を話すクラスメートに囲まれるのは刺激的だ。学生の気分で街を歩けば、いっそうパリを好きになるに違いない。
手作りの子供服
本当に良いおうちの子供は、母親や祖母の作ったお洋服を着るもの。だから、パリにはお裁縫を得意とする有閑な婦人が多くいる。熱心なカトリック教徒でもある彼女たちは、仲間を集めてアトリエを運営し、産着や洗礼服やスモックドレスなどを作って、教会のバザーで売る。手の込んだそれらの作品は、どんな有名ブランドの子供服よりも価値があると言われている。(私の義母も自宅でアトリエを主宰している。「教会の慈善活動が忙しくて家事をする暇がない」と言う彼女は、ポルトガル人の家政婦を雇い、結果的に、奉仕と雇用というふたつの点で社会に貢献している)
屋根裏部屋
風呂無し、台所無し、トイレ共同、古い洗面台がひとつ壁に引っ掛かっているだけの小さな部屋を隠れ家にする。
本
古本屋で好きな作家の仮綴じ本をみつけたら、迷わず購入して製本屋へ持ちこみ、美しい装丁を施してもらう。そしてアトリエの中を見学させてもらう。(義理の叔父がかつて製本・装丁を生業としていた。その作業、道具、素材、どれも美しかった)
地図
シックなデザインの、手帳のようなパリの地図帳。これでもう道に迷わなくなる。パリを舞台にした物語を読むときにも役に立つ。通りの一覧表で著名人の名前を発見する楽しみもある。
人形とその付属品
Corolle 社製の人形を知人の子供へお土産に。さまざまな年齢(赤ん坊、幼女、少女)、髪の色(ブロンド、ブルネット、赤毛、黒髪)、人種(白人、黒人、アジア人)、サイズ(小さい、中くらい、大きい、うんと大きい)の中からひとつを選んだら、身の回りの品々を奮発して揃えてあげたい。パジャマ、ネグリジェ、ガウン、バスローブ、下着、靴下、タイツ、ブラウス、スカート、ジャンパースカート、ワンピース、サンドレス、ドレス、Tシャツ、セーター、カーディガン、パンタロン、ジーンズ、オーバーオール、ジャケット、コート、帽子、手袋、マフラー、スカーフ、水着、テニスウェア、エプロン、サンダル、ブーツ、モカシン、スニーカー、ストラップシューズ、ハンドバッグ、リュックサック、スーツケース…。
匂い
数週間をパリで過ごして日本へ戻り、それから数日経って日常生活が軌道に乗り始めた頃にふと、自分がまだパリにいるという錯覚を起こすことがある。それは、向こうで洗濯したシャツに腕を通すときや、持ちかえったシャンプーで洗った娘の髪を梳かすときなどだ。だから旅の余韻を長引かせたいなら、洗濯用洗剤や石鹸、シャンプーなど、匂いを放つ日用品をお土産にするのがいいかもしれない。身近な人達に使ってもらい、彼らとすれ違う度、パリ気分に浸るのだ。
シテ島の鳥市で、とびきり美しい鳥かごを買う。盛んにさえずる色とりどりの小鳥たちに呼びとめられるが、日本へ持ち帰る手続きの困難さを思うと、そちらの方は諦めざるを得ない。それでも敢えて、とりわけ可憐なのを一羽買い求め、旅の間だけ一緒に暮らし、発つ日の朝に放してやるというのはどうだろうか? いや、飼い鳥が自由に生きてゆけるほど自然は甘くないはず…。自らのエゴイスティックな思いつきをを戒めながら、空の鳥かごを抱えて、セーヌ川を渡る。
蝋燭
教区の人々しか足を踏み入れない、小さくて地味な教会を訪ねる。小銭をそっと献金箱に落とし、蝋燭に火を灯して、祈る。過去と現在と未来の精霊に包まれて。
アンティークの鏡
薄暗い骨董屋の奥でわずかな光を反射させている古い鏡を買う。貴婦人の肖像画を収めたくなるような、デコラティブな額に縁取られた鏡だ。この鏡の前に立つとき、最初はあまりに貧相な自分の風采に愕然とするだろう。けれども、毎日姿を写すうち、鏡にふさわしくなろうという無意識の努力が働き、やがては気品あふれる人間になれるような気がする。
言葉
語学学校の一週間コースに通う。とっつきにくいフランス語と仲良くなれるし、さまざまな母国語を話すクラスメートに囲まれるのは刺激的だ。学生の気分で街を歩けば、いっそうパリを好きになるに違いない。
手作りの子供服
本当に良いおうちの子供は、母親や祖母の作ったお洋服を着るもの。だから、パリにはお裁縫を得意とする有閑な婦人が多くいる。熱心なカトリック教徒でもある彼女たちは、仲間を集めてアトリエを運営し、産着や洗礼服やスモックドレスなどを作って、教会のバザーで売る。手の込んだそれらの作品は、どんな有名ブランドの子供服よりも価値があると言われている。(私の義母も自宅でアトリエを主宰している。「教会の慈善活動が忙しくて家事をする暇がない」と言う彼女は、ポルトガル人の家政婦を雇い、結果的に、奉仕と雇用というふたつの点で社会に貢献している)
屋根裏部屋
風呂無し、台所無し、トイレ共同、古い洗面台がひとつ壁に引っ掛かっているだけの小さな部屋を隠れ家にする。
本
古本屋で好きな作家の仮綴じ本をみつけたら、迷わず購入して製本屋へ持ちこみ、美しい装丁を施してもらう。そしてアトリエの中を見学させてもらう。(義理の叔父がかつて製本・装丁を生業としていた。その作業、道具、素材、どれも美しかった)
地図
シックなデザインの、手帳のようなパリの地図帳。これでもう道に迷わなくなる。パリを舞台にした物語を読むときにも役に立つ。通りの一覧表で著名人の名前を発見する楽しみもある。
人形とその付属品
Corolle 社製の人形を知人の子供へお土産に。さまざまな年齢(赤ん坊、幼女、少女)、髪の色(ブロンド、ブルネット、赤毛、黒髪)、人種(白人、黒人、アジア人)、サイズ(小さい、中くらい、大きい、うんと大きい)の中からひとつを選んだら、身の回りの品々を奮発して揃えてあげたい。パジャマ、ネグリジェ、ガウン、バスローブ、下着、靴下、タイツ、ブラウス、スカート、ジャンパースカート、ワンピース、サンドレス、ドレス、Tシャツ、セーター、カーディガン、パンタロン、ジーンズ、オーバーオール、ジャケット、コート、帽子、手袋、マフラー、スカーフ、水着、テニスウェア、エプロン、サンダル、ブーツ、モカシン、スニーカー、ストラップシューズ、ハンドバッグ、リュックサック、スーツケース…。
匂い
数週間をパリで過ごして日本へ戻り、それから数日経って日常生活が軌道に乗り始めた頃にふと、自分がまだパリにいるという錯覚を起こすことがある。それは、向こうで洗濯したシャツに腕を通すときや、持ちかえったシャンプーで洗った娘の髪を梳かすときなどだ。だから旅の余韻を長引かせたいなら、洗濯用洗剤や石鹸、シャンプーなど、匂いを放つ日用品をお土産にするのがいいかもしれない。身近な人達に使ってもらい、彼らとすれ違う度、パリ気分に浸るのだ。
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