街のあかり

2008年10月3日 映画
絶望的なまでに救いようのない男の話である。

しかし妙な感情移入をするこはとなく、ときには滑稽さのあまり、これが悲劇であることを忘れて、苦笑した。

それは、アキ・カウリスマキの徹底的な美学に基づいた映像の中で起きている物語だということを、観客(私)は、知っているからだ。

登場人物はおしなべて仏頂面。舞台は、使い古されて、昔の匂いがぷんぷんするような場所ばかり。

主人公コイスティネンの、人間としての自然なしぐさを垣間見るのは、二つのシーンだけ。刑務所の中で無邪気に笑っている瞬間と、ソーセージ売りの女性に手を重ねる、最後の場面。

カウリスマキって、フィンランドを代表する映像作家だけど、彼の映画には、一般的にフィンランドという国から連想されるようなものは、何一つ登場しない。(高い教育水準とか?おしゃれな北欧家具とか?カラフルな街並みとか?素朴な自然とか?)そこに、すごく好感が持てるなあ。
逆に、カウリスマキの映画でフィンランドに憧れて行った人は、ずいぶんがっかりすることだろうけどね。

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