午後に、母がやって来た。
私は迎えに行くと申し出たが、母はそれを断り、バス・電車・バスと乗り継いで、一人でやって来た。
ふさがった片目には眼帯をして。

以前のように、リュックサックにはお菓子が詰まっていた。
夫の好きな黒豆の入ったお煎餅、私の好きな文明堂のカステラ…。
そして、今朝ストーブで煮たという小豆。
私はいつも母から小豆の煮たのを貰うと、すぐに冷凍庫にストックして、お汁粉を作るときに解凍して使っていた。入院中に最後のストックでお汁粉を食べながら、娘たちと、
「これが最後の、おばあちゃんのお汁粉になるかもしれないね…」
と、言っていた。
だから、小豆を煮る気持ちを取り戻してくれたのが、本当に嬉しい。

娘たちには、お小遣いの沢山入ったポチ袋と、図書カードそれぞれ5千円分。
私と夫にも、入院中にお世話になったからと、お礼の封筒が…。

そんなことしてくれなくていいのにと思う。
でも、そうしたいのが母の気持ちなのだから、ありがたく受け取ればいいのだと、自分に言い聞かせる。

そして、最近、仕事でかかるプレッシャーで弱っている夫に、
「パパ、偉くなんてならなくていいから、パパが苦しまなくてすむ生き方をしてね」
と、言ってくれた。

帰るときに、そろそろと、手すりにしがみつくようにマンションの階段を下りる母を見ると、日常生活の大変さが想像できた。
強風の中、桜の花のつぼみがほんの少しだけ開いた緑道を通って、私たちはいつものバス停まで母を見送った。

コメント

karia
2009年3月22日23:50

いつにも増して美味しいお汁粉になるでしょうね。

優しい優しい素敵なお母様ですね。
ご自分のことよりも周りの人のことを考えていらっしゃる・・・
私もt.p.さんのお母様のような人間になりたいと心から思います。

メロンパンナ
2009年3月23日22:42

夏里愛さま

ありがとうございます。
私は、自分が母の娘でよかったなぁと思います。生まれ変わってもまた、母の子供になりたいです。娘たちも母の孫であることに誇りをもってくれているし、夫も、私を嫁にしてしまったことは別問題として(笑)、母の義理の息子になったことに幸せを感じていると思います。

しかしながら、どこの家族でも、「母」は、それぞれの形で偉大なのではないでしょうか。
「1人の母親は100人の教師にまさる」と言いますものね。

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