ふとした拍子に、右手の小指が痛む。

なぜならば。
今年の初めに骨折したから。

エネは冬休みの間、「元素記号かるた」とりの練習をしていた。
休み明けに行われる「元素記号かるた大会」で優勝して、大きな元素周期表ポスターをゲットするために。
彼女は理科女子なので、そのポスターをベッドの上の天井に貼って、眺めながら眠りたいと思っていた。

しかしながら、元素記号は全部暗記したものの。
ヤツは運動神経が悪い！反射神経が鈍い！！
そこで、カデットを読み手に、毎日かるたとりの特訓をしていたのだ。

で、ある日、練習相手が欲しいと、私がよばれた。
元素記号なんて、はるか記憶のかなただったのだが、やってみると、案外思い出すもので、いつの間にかバトルは白熱していた。
そして。
七歳のカデットの口から、「ナトリウム」という可愛い声が出て、私は目の前にあったNaの札に手をかけた、その瞬間！（私よりずっと体格の良い）エネが札と私の右手めがけて、思いっきりスライディングしてきたのだ！

衝撃を受けた小指が激しく痛み出し、その痛みは、時間を経るごとに強くなり、腫れあがっていった。
「痛い、痛い」
と、子供や夫に訴えるが、今ひとつ相手にしてもらえない。

冷やしてそっとしておけば、そのうち治るだろうと思ったが、翌朝になっても、痛いったらない。
午前中、銀行で用を済ませて、外に出ると、整形外科の広告が、電信柱に張り付いているのが目に入った。
「神のお告げ？」
ってな感じで、ふらふらと矢印に沿って歩き、整形外科の扉を開けた。

レントゲンをとって診察。
「骨折ですね」
私は勝ち誇ったように、医者がくれたレントゲンのコピーを持って、家に帰った。

で。もう3ヶ月たって、治っているはずなのに時々痛み、エネが憎らしくなる。
ちなみに、元素周期表ポスターは、野球部の男子がゲットしたとか。親に怪我させといて、そんな結果か！まったくトロいヤツ！！「

2時過ぎに寝て。
6時前に、喉が痛くて目が覚めた。
唾を飲み込むたびに激しく痛んだ。
口の中に唾がたまるのが恐かった。

マスクをして、喉をだましだまし、うつらうつら。

9時に起き出し、飲み食いするうちに少し症状は和らいだが、それでも、痛くて敵わん！という状態。

夕方、再び、耳鼻科に行って、薬を飲みをえた途端、痛みがぶり返したと、うったえた。
医者は、マイクロスコープを鼻から入れて、じろじろ観察したが、心配するようなものは、何もないと。扁桃の周りが腫れているだけだと。

トランサミン500mg、ムコダイン錠500mgを1日3回、クラリス錠200を1日2回　以上を7日分処方された。

喉が痛くて、目が覚めた。花粉症がひどくなると、いつもうこうなる。

仕方がないので耳鼻科に行く。割合近所にできた、新しい耳鼻科。季節がら待たされることを覚悟して、分厚い本を持っていったのに、待合室には誰もいなくて、すぐ呼ばれた。

ダイジョブなのか？

トランサミン錠500mg、ムコダイン500mg、サワシリンカプセル、以上を一日3回、4日分もらって来た。

セルテクトを飲んでいる旨を告げたが、それに関しては、なんのコメントもなかった。

花粉症である。

一応、セルテクト飲んでるんだけど。

鼻もつらいが、目のつらさは、私から自制心を奪う。
こすってはいけないと思っているものの、髪や指がふと触れた瞬間、痒さ爆弾に火がついて、猛然とこすりまくってしまう。
その、こすっている間が、非常に、気持ちがイイ！
（痒いところを掻く快感は、そんじょそこらのセックスより快感度が上だと思う）
で、こすりにこすって、赤くなって、白目が透明なゼリー状になりかけたところで、市販の目薬をさす。
イタ気持ちイイ！

高校生の頃、隣の席の女が、頬を湿疹で赤くしていた。
「痒いんだけど、がまんしてるの」
「痒いとこ掻くと、気持ちいいよね」
私は挑発した。
「やめてよ、がまんしてるんだから〜」
「じゃあ、あたしがきっかけを作ったげる」
彼女の頬をひと掻きしてあげた。
スイッチの入った彼女は、バリバリと、自分の頬を掻きだし、最後は真っ赤に腫れあがって、痛そうだった・・・

掻いてた時の彼女の快感度を思うと、恍惚としてしまう。